東京の和菓子:「可愛い」がもつメッセージ

2026年3月18日

世界中、日本中から多様な食が集まる東京は、ソフトクリームやパフェ、かき氷をはじめ、最新スイーツから伝統的な和菓子まで、ときめくような可愛いスイーツが溢れています。世界でも知られるようになった「可愛い」は、単純に愛らしいといった意味に加えて、いじらしい、趣深いといったさまざまな意味を含む言葉です。東京のスイーツも、見た目のみならず、季節の移ろいや素材の魅力などを感じられる、独自の可愛い世界観が表現されています。和菓子にも同様で、心をくすぐる見た目やおいしさは、可愛いの真髄を備えているともいえます。

創業200年以上の老舗菓子店 榮太樓總本鋪の店長、秋月康成さんに、可愛い和菓子と東京の和菓子について聞きました。

特有の世界観を表現する和菓子

和菓子とは、主に米をはじめとする穀類や豆、砂糖などを使用して作られる、日本の伝統的なお菓子のことです。日常的に楽しむおやつから、古い時代には身分の高い人だけが食べていた高級菓子まで様々で、季節の伝統行事と強い結びつきがあることから、四季を表したお菓子も多くあります。季節や行事のメッセージや、喜びなど、ひとつひとつに意味がこめられ、それを見て、食べて感じられるのが魅力です。

「可愛い」が感じられる和菓子の代表に、「練り切り」があります。白あんに砂糖を混ぜてねり上げて色づけし、桜や新緑、紅葉など、季節の植物や風景をかたどったもので、中には百人一首などの和歌をモチーフにしたものも。見た目の美しさだけでなく、特有の美的感覚や情景を表現する奥深さが感じられ、その豊かさからしばしば食べる芸術とも言われます。

株式会社 榮太樓總本鋪 秋月康成さん。榮太樓總本鋪は創業200年以上の老舗菓子店で、江戸から続く和菓子を受け継いでいます

榮太樓總本鋪の秋月さんは「近年は、和菓子と季節の結びつきに興味をもつ訪日観光客もいます。特に春のお花見シーズンに食べられる桜餅が人気です。春は桜や苺のスイーツがたくさん登場しますが、日本を訪れたなら和菓子にもふれてほしいです」と話します。

関西でよく食べられる道明寺(写真左)と、関東でよく食べられる長命寺(写真右)の桜餅。

桜餅は餅やクレープ状の生地であんこを包み、桜の葉の塩漬けを巻いた和菓子です。古くから食べられていて、春らしい見た目と桜の香り、やさしい甘さが楽しめます。おいしさだけでなく、春が訪れる尊さを感じながら、季節を愛でる食べ物なのです。

桜餅は地域によってスタイルが異なり、寺の名前で呼び分けられます。関西圏は、米の粒感が残る道明寺粉で作る餅であんこを包んだ道明寺、関東圏は、白玉粉や小麦粉でつくるクレープ状の生地であんこを巻いた長命寺が主流です。

このように和菓子も他の料理と同じように地域によって違いがあり、その背景には食文化や行事などの歴史があります。古くから伝わり、今も多くの人に愛される和菓子は、東京にも多く存在します。

大福、飴、甘名納糖、金つば。古くから愛される東京の味

秋月さんは「たとえば練り切りは京都で発展し、身分が高い人が食べていた高級な和菓子に分類されます。対して東京で発展した和菓子の多くは、どら焼きや大福のように、手づかみでカジュアルに食べられる、どちらかというと庶民の味が多いです」と話します。

東京の和菓子は江戸菓子と呼ばれ、江戸時代の中期以降、庶民の文化が花開いた時代に発展しました。働く人々や子どもが日常的に食べたものや、季節の行事で楽しまれたものが、今にも受け継がれています。
東京観光の合間に購入でき、おやつやお土産にもぴったりで、抹茶といただく繊細な和菓子とはまた違ったおいしさを感じられます。

古くから親しまれている、東京らしい和菓子を4つ紹介しましょう。

大福餅(大福):

あんこを餅で包んだ和菓子で、江戸時代に江戸(当時の東京)で生まれたといわれます。1980年代以降、現代になって、苺大福をはじめとする新しいスタイルが生まれました。アイスを餅で包んだ大福は、「Mochi ice cream」として海外でも人気です。


江戸からの製法を受け継いだ、榮太樓總本鋪の「梅ぼ志飴」。

あめ:

飴は古くから食べられていましたが、庶民に広まったのは江戸時代中期以降です。東京にはこの頃から飴を販売し、今も続く飴細工店や企業が複数あります。東京では伝統を受け継いだ味はもちろん、カラフルで可愛い飴やリップ型の飴など、現代の可愛いをとり入れたアイテムも購入できます。


榮太樓總本鋪の甘納豆「甘名納糖(あまななっとう)」

甘納豆:

小豆や栗、芋などを砂糖蜜で煮詰め、砂糖をまぶした和菓子です。日持ちすることから庶民のおやつとして重宝されました。


榮太樓總本鋪の「金鍔」。江戸時代の末期に屋台で金つばを焼いていたという。

金つば:

金つばは、あんこを小麦粉の薄皮で包み焼き上げたものです。金は金色、つばは刀のつばの形に由来しています。京都で食べられていた銀つばが江戸に伝わる過程で、製法や名前が変化し、広まりました。古くは江戸の町の屋台で販売されていました。


「江戸時代中期以降、江戸の町が栄えて蕎麦や天ぷらなどの当時のファストフードの屋台が立ち並ぶ中に、金つばの屋台がありました。気軽に食べられる江戸菓子は小腹を満たし、働く元気の源となるものだったのではないでしょうか」と秋月さん。

江戸菓子は、商人が行き交う市場の活気を支えるお菓子だったことが伺えます。

東京・日本橋にある榮太樓總本鋪は、昔ながらの製法など伝統を継承しながら江戸菓子を伝えており、本記事で紹介した4つのアイテムも店頭で購入できます。

様々な時代の可愛いがミックスした、クリエイティブな和菓子

東京は今も昔も多くの人が行き交い、時代の移り変わりとともに可愛いをアップデートし続ける都市です。近年は、包装や製法に洋菓子の新たなエッセンスをとり入れているもの、ヴィーガン対応やグルテンフリー対応のものなど、現代の東京らしい多様で可愛い和菓子が登場しています。

この創意工夫について、秋月さんは「職人に受け継がれたクリエイティブな精神」だと話します。

伝統的なスタイルを受け継ぐ和菓子も、現代的なカルチャーがミックスした和菓子も、東京を行き交う人にワクワクやときめきを届けるためのクリエイティブなメッセージが込められています。東京を訪れてその両方を体感し、和菓子にこめられたメッセージを受け取ってみてください。

榮太樓總本鋪 日本橋本店 店長

秋月  康成

あきづき  やすなり

2002年入社。営業を経て2021年4月より本店の店長として勤務。

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