入店から退店まで~東京での外食の流れを知ろう
東京には、世界中の料理が集まり、多種多様な外食体験が旅行者を魅了しています。
日本の飲食店には、独自の決まりや作法がありますが、それらは決して難しいものではありません。
この記事では入店から退店までの流れをご紹介します。ぜひ、東京での外食体験を想像しながら読んでみてください。
入店前
まず知っておいてほしいのは、強い香りを発するものは、日本では周囲から忌避されるということ。日本の飲食店に行く前には、香水、匂いの強いヘアケア製品や制汗剤、食前・食中のたばこなども控えてください。特に寿司や懐石料理など、繊細な香りを大切にする和食では、香水等の強い香りの影響で味わいを損ねてしまうことにつながりかねません。
入店前にはドアや入口の看板表示をチェックしてください。「営業中」とあれば“Open”、「準備中」や「仕込み中」「支度中」は“Closed”を意味します。個人経営の小さな店では、外から営業状況が分かりにくいこともあるため、ホームページでチェックしたり、ノックをしたりして応答を待ちましょう。
営業しているように見えて準備中の場合もあります。日本では入店時、スタッフの案内を待つというのが基本です。
混雑して席がない場合や、行列のできる人気店では、並んで待ってほしい旨をスタッフに告げられることもあります。案内に従って静かに順番を待つことも大切です。順序を守って並ぶことが当たり前の日本において、横入りはルール違反。クレームを申し立てても順番が優先されることはありません。
並ぶ際、受付表がある場合は名前と人数を記入します。全員が揃わないと、順番が来ても席に案内されないお店もあります。
飲食店に入るときは「営業中」、「準備中」の看板表示の確認を。
入店~着席
座敷のある和食店等では、靴を脱ぐことがあります。脱いだ靴は入口にきれいに揃えておきましょう。高級店では履物係が靴箱に入れてくれるサービスもありますので、その際はひと言お礼を告げるのも良いでしょう。畳などが敷かれた「座敷」では、素足は足の汚れで床を汚すおそれがあるためNG。このようなお店に行く際は、靴下やストッキングを着用していくか、持参していくことをおすすめします。
ラーメン店など一部のカジュアルな飲食店では、入口に券売機が設置されていることがあります。入店前に食券を購入し、店員に渡します。その後、案内に従って着席します。
入店したら、スタッフから「いらっしゃいませ」という声がかかります。前述の通り、日本では入店時、スタッフの案内を待つというのが基本。予約の有無に限らず、空いているからといって、席に勝手に座らないようにしましょう。
スタッフに人数を聞かれたら、「One person」「Two people」とシンプルに答えればOK。伝わりにくければ、指で人数を示すのも良いでしょう。予約も受け付けているお店の場合、予約名を尋ねられることがあります。
「お好きなお席へどうぞ」と言われた場合は好みの席に座って構いません。
多くの和食店では靴を脱ぎ、畳や床に座る「座敷」があります。
着席
入店後すぐにスタッフが、店内で飲むために水を無料で提供してくれます。店によっては、水はセルフサービスになっており、その場合、店内の給水機を自由に利用できますが、大量に持ち帰るなどの行為は止めましょう。
水とともに提供される「おてふき(wet towel)」は、食事の前に手を拭くためのもの。顔や体まで拭くことは日本では嫌がられるので避けてください。
着席するとおてふきとお茶や水が提供されるのは、日本の飲食店ならではのサービス。
注文
注文は、スタッフが来るのを待つか、テーブルに設置された呼び鈴やタブレットを使います。混雑時にはスタッフが席に来るまで時間がかかることもありますが、慌てず待ちましょう。
日本の飲食店では一般的に、1人につき1品以上の注文を求められます。特に混雑する時間帯では、席を利用する人数分の注文が自然なルールとされています。
注文の際には、メニューの写真を指差ししたり、翻訳アプリを使ったりして問題ありません。店によっては、英語や中国語、韓国語など多言語対応メニューが用意されています。
必要な事項をシンプルに伝えるのがベスト。丁寧な言葉や笑顔を添えて注文することが、円滑なコミュニケーションの第一歩になります。
また、必要以上に注文しすぎないことも大切で、注文前に料理のサイズがわからない場合は、スタッフに確認することをおすすめします。「思ったより多かった」という状況を防ぎ、フードロスの予防にもつながります。
店員の案内に従って着席。メニューは写真を指差したり翻訳アプリを使ったりしてもOKです。
居酒屋では、お酒を注文すると「お通し」と呼ばれる小皿料理が提供されることがあります。これは前菜のような料理で、一説には「入店したお客様を席にお通しした合図」として始められたとも言われています。提供までの時間を快適にするおもてなしの役割に加え、席料の意味も込められており、多くの場合は有料。基本的には断ることができないので、日本独自の文化として理解しておくと安心です。
あとは、料理が提供されるまで楽しみに待つだけです。面倒に感じるこの「待つ」という時間に、実は「準備が整ってから丁寧に迎える」という日本ならではの心遣いが込められているのです。その間に、店内装飾、テーブルに置かれた薬味、店内の雰囲気など、自国と異なる点を観察してみるのはいかが? 食文化の違いを感じる楽しい経験となることでしょう。
食事~会計
料理が運ばれてきたら日本風に、「いただきます」と軽く会釈してから食事を始めてみるのも良いでしょう。この一言には、食材や料理の作り手に感謝の気持ちが込められています。食後はスタッフに、おいしかった料理に敬意を表する言葉「ごちそうさま」や感想を伝えると、きっと笑顔が返ってくるはずです。
日本の飲食店での会計方法は、テーブル会計に加え、レジに伝票を持って行くスタイルもあります。迷った場合はスタッフに確認を。価格にはほとんどの場合、サービス料が含まれているため、日本の飲食店ではチップを渡す必要はありませんが、特別な感謝の気持ちを込めて渡すことは自由です。
「いただきます」「ごちそうさま」の一言で、食材と作り手への感謝が伝わります。
日本の飲食店でのルールは、思っているよりずっとシンプルです。大切なのは「案内を待つ」「その場に合わせて行動する」こと。そういった小さな所作の中にこそ、日本人の礼儀が息づいています。静かに思いやり、心を通わせる——それが、日本の食文化を支える「優しいふるまい」なのです。
日本独自のちょっとした思いやりや気遣いが込められたサービスの流れを知っておくことで、東京での食体験はより素晴らしいものになります。
監修
諏内えみ すない えみ
マナースクールEMI SUNAI 代表。マナー、ふるまい、会話、社交、テーブルマナーやパーティマナーのレッスン等を行う。
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