江戸の食文化を現代にアップデート モダニズム発酵ツアー

2026年3月 5日

世界中の多様な食が集まり、発展させることで、独自の食文化が生まれる街、東京。
江戸の伝統野菜をはじめとした様々な食材の産地でもある、東京。

東京の気候風土が生んだ自然の恵み、
食材の一つひとつに込められた生産者の想いやストーリー、
伝統の技法と革新的なアイデアを凝らし、東京の食文化を紡ぐ料理人たち。

東京ならではの「ガストロノミーツーリズム」が、
きっとあなたの日常に、新しい気づきを与えてくれるでしょう。

ガストロノミーツーリズムとは
その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、
その土地の食文化に触れることを目的とした旅のこと。
知って、学んで、味わう時間が、あなたの旅を彩ります。

江戸の食文化を現代にアップデート モダニズム発酵ツアー

醤油、味噌、酒、納豆、漬物、かつおの本枯節など、
日本の「食」を形づくる食材には、発酵食品が数多くあります。
こうした食材の中には、江戸時代に国内随一の消費地であった江戸に運ばれて、
さらなる発展を遂げたものも少なくありません。
江戸で広く普及した発酵は、現在の東京の食文化の中でどのような変化を遂げたのか?
江戸からモダナイズされた発酵食品を探す旅に出かけました。

参加者(写真左)

安田美沙子
女優/タレント
タレントや女優として活動する傍ら、食育インストラクター、健康食コーディネーターとして食育活動も行う。北海道生まれ、京都育ちという背景から、地域の食文化や郷土料理、伝統工芸品などへの関心が高く、日常の「食」を豊かにするプロダクト開発にも携わる。食育を軸とした活動を行う団体「ChefooDo」所属。2児の母。著書に『またあれ作ってと言われる幸せごはんレシピ』など。
https://www.yasudamisako.com/

ファシリテーター(写真右)

小倉ヒラク
発酵デザイナー
1983年、東京生まれ。デザイナー時代に発酵食によって体調不良が改善した経験から、東京農業大学で研究生として発酵学を学ぶ。「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、発酵をテーマにした様々なプロジェクトを展開。2024年「発酵文化芸術祭金沢」展、2025年「発酵ツーリズム東海」などのキュレーターを務める。著書に『発酵文化人類学』、『日本発酵紀行』など。
https://hirakuogura.com/

「BROOKS GREENLIT CAFE」で 話題の発酵飲料・コンブチャを味わう

発酵食品が体に良いことはよく知られていますが、江戸の昔から、人々は健康管理に発酵飲料を役立てていたそうです。小倉ヒラクさんは、「江戸時代の人たちは、夏バテしそうになると、甘酒売りから甘酒を買って飲んでいました。ですから『甘酒』は夏の季語とされています。それに日本にはお茶を発酵させて飲む文化があって、江戸時代には各地で発酵茶が飲まれていたようですよ」と話します。

そんな話をしながら、小倉さんと安田美沙子さんが訪れたのは、南青山の青葉公園に面する「BROOKS GREENLIT CAFE」。こちらは100%プラントベース(植物由来)の食事とドリンクに特化したカフェで、オーガニックの野菜や果物など、体に優しい素材を使ったドリンクやサンドイッチが人気です。こちらのカフェを運営する株式会社大泉工場の代表を務める大泉寛太郎さんによると、店名の「GREENLIT」は、プラントベース、オーガニックなどを表す「GREEN」と、「イケてる」「最高」などを意味するスラング「LIT」を組み合わせた造語とのこと。おいしさはもちろん、自然環境や健康にも配慮した食への取り組みを、遊び心があって洗練されたスタイルで発信していきたいという思いが、この店名には込められているそうです。

看板商品のひとつが「_ SHIP KOMBUCHA」というコンブチャ。コンブチャはその名前から日本では昆布茶と混同されがちですが、お茶をベースにした微炭酸の発酵飲料で、欧米では数年前から人気が定着しています。「昔、日本で流行った紅茶キノコがアメリカに渡り、西海岸でさらにおいしく、お洒落にアップデートされて逆輸入されたものがコンブチャです」と小倉さん。江戸時代によく飲まれていたという、発酵茶のアップデート版と言えるでしょう。

「_SHIP KOMBUCHA」は、京都宇治の永田茶園で有機栽培された煎茶と和紅茶をブレンドし、きび糖とてんさい糖、酢酸菌と酵母由来の菌株を合わせて発酵させています。「そのまま飲んでもおいしいお茶ですが、発酵させることによってフルーティーになり、爽やかな酸味が加わります。おいしくて、腸内環境の改善をサポートしてくれるところも魅力です」と大泉さんは話します。
「以前から名前は知っていましたが、飲んだことがなくて…」と話す安田さんに差し出されたのは、ワイングラスに注がれたコンブチャです。美しいゴールドの液体の中で、極小の泡が揺れていて、見た目はスパークリングワインのよう。「わぁ、おいしい!なんだろう、フローラルでバニラみたいな香りもあって、ナチュラルワインのようでもあって。これはハマりそう」と、目を丸くする安田さん。

二人は続けて紫蘇、柚子のフレーバーのコンブチャ、を、さらに安田さんは有機ストロベリー、バナナ、豆乳をベースにコンブチャを隠し味にしたスムージー「ベリー ドリーミー」も試飲していきます。スムージーの中にはコンブチャだけでなく甘酒も使用されているものもあるとのこと。発酵の力を使いながら、満足感と美味しさを体感できる味わいが追求されています。
「紫蘇、柚子のフレーバーのコンブチャも香りがすごく華やかですね!スムージーの『ベリー ドリーミー』はベリーの酸味とコンブチャの爽やかな酸味がよく合っていて…。何年か飲まずにいて、損したなと思いました」と、初めて出合ったコンブチャのおいしさに、驚きを隠せない安田さんでした。江戸と現代とでは飲み物のスタイルこそ違いますが、体に良いものとして発酵飲料が親しまれていることは、昔も今も変わらないようです。

日本と東アジアの発酵食品が集まる 「発酵デパートメント」へ

続いて、下北沢の「発酵デパートメント」へ。こちらは、「世界の発酵みんな集まれ」を合言葉に小倉さんが2020年に開いたお店で、発酵食品や発酵に関する書籍を販売するほか、旬の食材と発酵食品を組み合わせた定食や軽食が味わえます。

「始まりは僕がローカルな発酵食品を調査するため、全国の発酵食品を作っている現場を何十カ所も訪ねたことです。その中には、作り手が減り、もはや消えそうになっているものがたくさんありました。東京は江戸の昔から、様々な文化をキュレーションしてきた“まち”ですから、東京で全国の発酵文化を紹介することで、新たな買い手が生まれ、作り手にお金が還元され、発酵文化の存続につながると考えて、この場所をつくりました」と小倉さんは話します。実際、この店は発酵食品のインフォメーションセンター的な役割も果たしていて、お客様がこの店で知った発酵食の生産現場を訪ねるケースも増えているそうです。また2025年秋からは、発酵と同様に日本各地で生まれた特色ある文化として、全国の民藝も扱っています。

ここでは発酵について学べる場として様々なワークショップを行っているとのことで、安田さんも発酵調味料である醤油麹づくりを体験しました。作業は実にシンプルで、容器に麹を入れ、醤油を注いだら、よく混ぜて蓋をするだけ。あとは常温で保存し、毎日1回混ぜればOK。暖かい時期なら1週間、寒い時期なら2週間ほどで醤油麹が完成します。
この日は、泡盛の発酵に使われる沖縄県由来の黒麹と、東京都唯一の醤油蔵・近藤醸造の「キッコーゴ」を使用しました。小倉さんによると、黒麹は発酵するとクエン酸が出てパイナップルのような味になるため、旨味のきいたポン酢のような醤油麹ができるそうです。安田さんも「黒麹が発酵するとフルーティになるというのは驚きです。炒め物や揚げ物の下ごしらえ、トッピングと色々使えそうなので、子どもたちが好きな鶏の唐揚げに使ってみようかな」と話していました。

「わあ、おいしそう!」
体験後の安田さんお待ちかねのランチは「発酵七福定食」。蒸篭蒸しと全国の発酵食品を組み合わせ、健康に良い7つの菌が摂れるように考案されたものです。蒸篭の蓋を開けると、ふわっと湯気が立ち上がり、色とりどりの蒸し野菜と、沖縄の保存食スーチカー(豚肉を塩麴で漬けたもの)が現れました。ほのかな旨味が感じられる粕塩、爽やかな酸味の黒麹醤、チーズのようなコクのある豆腐ようソースと合わせていただきます。

常滑焼の茶碗には雑穀雪室米、越前漆器の素朴な椀には具沢山の味噌汁。器も趣き深く、青森県の郷土料理である「ごど」、甘酒のピクルス、ヨーグルト×黒麹甘酒のデザートまで、ひと皿ずつ丁寧に味わいたくなります。なかでも、「ごど」は大変珍しい料理とのこと。「納豆と麹を合わせて乳酸発酵させた、納豆と漬物の中間みたいな食べ物です。十和田市周辺の小さな集落で、おばあちゃんたちが作っている郷土料理で、僕が直接作り方を学び、お店で出しています」と小倉さん。食べてみると納豆特有の粘り気も匂いもなく、少し酸味のあるあっさりとした味わいです。
毎年、親子で味噌づくりを楽しみ、塩麴や醤油麦麹も自宅で作っているという安田さんもこの定食に大感激。「お野菜はホクホク、シャキシャキだし、すべてのお料理が体に良さそうな味で、どんどんお箸が進みます。特にお味噌汁が本当に優しい味で驚きました。どうしたら、こんな味になるんだろう」と、食事しながらも興味津々に、小倉さんやお店のスタッフに尋ねていました。

日本の発酵文化の転換期について、小倉さんはこう話します。「日本で麹文化が成熟し、甘酒や麴漬け、麹を活用した調味料などが著しい発展を遂げたのは江戸時代のことです。江戸の食生活は菜食中心で、無駄を出さないことが特徴的でもあったため、食材を長持ちさせる技法として発酵が用いられ、それが現代の日本の食文化につながっています」。各地に残る昔ながらの発酵食をフィーチャーする「発酵デパートメント」は、江戸時代に広く普及した日本の発酵文化を存分に堪能できる空間と言えるでしょう。

出汁の専門店「だし尾粂(おくめ)」で オーダーメイドの出汁づくりを体験

麻布台ヒルズの「だし尾粂」は、1871年(明治4年)創業の水産仲卸の老舗「尾粂商店」が手がける出汁専門店です。江戸時代に広まり、現在も日本の食文化に深く根付く出汁。ここでは出汁から発酵を紐解いていきます。店内のショーケースには、国産無添加、産地や製法にもこだわって、出汁のプロの目利きにより厳選した36種類もの乾物(食材を乾燥させて水分を抜き、保存性を高めた食材)が並び、素材を組み合わせてオーダーメイドの出汁パックを作ることができます。お客様1組につき専任スタッフが1人つき、作りたい出汁に合わせて、素材をイチから一緒に選んでいくスタイルが、親子連れや外国人の方にも好評だそうです。

安田さんも出汁パック作りに挑戦しました。店長の後藤竹虎さんに案内され、まずは「基本だし」「東京だし」「京都だし」など地域ごとの特徴を持つ出汁を試飲して、作る出汁の方向性を決めていきます。ちなみに「東京だし」は、かつお荒節(切り分けたかつおを煮て、乾燥させた後に燻したもの)、宗田かつお節、さば節を組み合わせた混合節が主役の合わせ出汁、「京都だし」はまぐろ節を中心にした出汁とのこと。「京都の出汁は、あっさりしているけれど味が濃い印象がありました。あれはまぐろ節の味なんですね」と、京都出身の安田さん。「そうですね。逆に東京は江戸時代から蕎麦が食べられてきましたので、しっかり魚感が楽しめる、パンチがきいていて、キレの良い出汁が愛されてきました。こうした地域ごとの違いも日本の出汁文化として、お客様にお伝えしています」と後藤さんは話します。

出汁づくりのオーダーシートには、36種の素材が節類、煮干し、昆布、キノコなどの4グループに分類されています。各グループから最低1つずつを選べば、尾粂の黄金比率で配合され、おいしい出汁になるそうです。ここで、小倉さんから補足説明が。「魚のイノシン酸、昆布のグルタミン酸、キノコのグアニル酸の3大旨味成分を掛け合わせると、相乗効果で旨味が数倍になることが、長年の研究により解明されています。江戸の庶民は家庭で出汁を取るときは、高額なかつお節ではなく煮干しを使っていましたが、料理の具材として日高昆布も入れていました。既に魚と昆布の合わせ出汁になっているのが、興味深いですよね」。

安田さんはご家族の好みを考えて、まず焼きあごをチョイス。素材の香りを確認し、後藤さんや小倉さんのアドバイスを参考に、かつお本枯節、伊吹いりこ、利尻昆布、どんこ椎茸、ほたて貝柱を合わせました。そして、実はここにも発酵食品が。かつお節の最高級品とされるかつお本枯節は、かつお荒節にカビを付けて発酵、熟成させて天日干しをする工程を何度も繰り返すことで旨味を凝縮させたものです。発酵の過程で水分がさらに抜け、脂肪分も分解されるため、保存性も高まります。後藤店長は、「かつお本枯節は発酵、熟成、天日干しの工程で、燻した香りが消えるので、かつお本来の優しく上品な香りが楽しめるのが特徴です。同じ魚の乾物でも、工程の違いで味も香りも変わるのがおもしろさですね」と、教えてくれました。

選んだ素材は店内の機械で粉末にされ、出汁パックに充填、パッケージングされて、オーダーメイドの出汁「安田ブレンド」が完成!
「いろいろ教えてもらいながら、素材の相性を考えていくのは、すごく新鮮な体験でした。毎日のお味噌汁に使います」と、安田さんは満面の笑みでした。

発酵×モダンガストロノミーの神髄を 「namida」で味わう

小倉さんの案内で最後に向かったのは、池尻大橋にある「namida」です。

オーナーシェフの田嶋善文さんが手がける料理は、伝統的な日本料理をベースにしながらも、現代人の口に合うようモダナイズされたもの。田嶋さんはこう話します。
「日本料理は醤油や味噌、酒などの調味料に代表されるように、発酵技術とともに並走してきたものです。古典的な日本料理へのリスペクトはありますが、古典をそのまま提供するのではなく、伝統的な発酵調味料を使い、伝統技法としての発酵を古典の和食にはない食材や調理方法に掛け合わせるなどのアレンジを加えて、既知の安堵と未知の感動が共存する料理をめざしています。そうすることで、現代の味覚に合うような形で自然にアップデートすることができるのです。仮に織田信長とか千利休がタイムスリップして、僕の店に飲みに来たとして、その時に『まだそんなことやってるの?』とは言われたくないんです(笑)。古典はこれからも学び続けますが、現代解釈し、先人に対するアンサーをしたいと思っています」。

その言葉通り、この日の料理も様々な発酵の要素と斬新なアイデアであふれていました。例えば「鹿の発酵トマト漬けカツレツ」は、乳酸発酵させたトマトに鹿肉をマリネして肉の旨味を引き出し、カツレツにしたもので、かえしには香川県小豆島の「ヤマロク醤油」の「鶴醤(つるびしお)」を使い、なんとモミの木の新芽を塩漬けにして発酵させたものがトッピングされています。
「本当においしいです!」と笑顔が弾ける安田さん。「カツレツはうっすら乳酸感を感じますね。モミの木はジンにも似た青い香りがして、2切れ目がさらにおいしくなります」と、小倉さんも至福の表情を浮かべていました。

印象的だったのは、田嶋さんの木桶仕込みの醤油や味噌へのこだわりです。「木桶は発酵がゆっくり進むので、深い旨味と香りが生まれるのが魅力です。それに微生物の介入による偶然や突然変異で、味が更新されることも蔵の個性につながります。例えば、同じ小豆島の木桶仕込みの醤油蔵でも、正金醤油さんは出汁に合う端正な味、ヤマロク醤油さんはフライに合うパワフルな味。作り手によって味わいがまったく違うので、料理で使い分けています」と田嶋さん。ちなみに小倉さんの解説によると、木桶仕込みの醤油は、江戸のまちの発展とも関わりがあるそうです。「それ以前、醤油は木桶や甕(かめ)で仕込まれていましたが、江戸の人口が爆発的に増えたことにより、醤油や味噌などの調味料も大量生産が求められました。陶器で超大型の甕をつくることは不可能だったため、大型の木桶がつくられるようになったんです。木桶は大量生産を可能にしただけでなく、温度や湿気の変化にも強く長期発酵にも適していたため、木桶仕込みの醤油が主流になっていきました」。

裏ごしした豆腐を埼玉県「弓削多醤油」の醤油粕チップでスモークし、その上に雲子(タラの白子)の柚庵漬け(酒、醤油、味醂、柚子の調味料に漬けたもの)をのせた料理には、鳥取県「山根酒造場」の「純米ひやおろし 山装ふ」を熱燗でペアリング。発酵飲料である日本酒やワインとのペアリングを楽しめるのもこのお店の一つの特徴。酒、醤油、醤油粕、味醂、さらに熱燗と、まさに発酵尽くしです。熱燗をひと口含んだ小倉さんが「わっ、酸がすごく立っていますね」と驚きの声をあげます。
田嶋さんによると「ヨーグルトのようなクリーミーな乳酸と旨味があるお酒なので、なめらかな雲子と違和感なく合うんです。雲子には醤油、味醂、酒などの味が複雑に絡み合っていますが、すべて発酵の味なのでそこも相性がいい。酸で脂を溶かし、一緒に引き立て合うイメージ。味覚をどこまで甘やかせるか、がテーマの料理です」とのこと。口の中で温かい雲子と温かい日本酒、そしてひんやりとした豆腐がまろやかに溶け合う感覚は、まさに甘やかされているよう。贅沢で濃厚なマリアージュに、2人も「何これ!お酒と合わせるとまた別の味になる!」と大興奮。

続いて登場したのは、伝統的な発酵食品である漬物をアクセントに使った一品。べったら漬けといぶりがっこを「かくや」(古漬けの漬物を炒めた惣菜)にし、低温で蒸した椎茸、玉もと(卵黄を油で乳化させてつくる生地で、塗って焼くとグラタン状に固まる)」と重ねてあります。江戸発祥のべったら漬けを、江戸の庶民の常備菜だった「かくや」にした、江戸の発酵文化が詰め込まれている料理です。

最後は「鯛の味噌漬け 青棒葉焼き」。神奈川県「加藤兵太郎商店」の「いいちみそ」で漬けた鯛と、ソテーした油揚げと洋ナシ、低温で蒸した舞茸を重ね、青い朴葉で包んで焼いてあります。「味噌漬けも、日本料理ならではの技法です。発酵食品の味噌が魚の旨味を惹きたててくれます。素材それぞれに味はありますが、青朴葉で包んで焼くことで葉の香りがついて味に統一感が生まれ、味の広がり方も立体的になるんです」と田嶋さん。

繊細な味覚と美意識にあふれる料理の数々に、安田さんは感動冷めやらぬ様子。「今までいろいろなお料理を食べてきましたが、田嶋さんのお料理には『まだ知らないものがある』という感動がありました。でも同時に古い友達のような安心感もあって、本当に新しい体験でした」と、笑顔で話してくれました。

こうしてモダニズム発酵ツアーを楽しんだ安田さん。一日を振り返り、こう話します。
「小倉さんやお店の方々のお話しを聞いて、特定の菌や酸が化学変化によってどう変わるかという発酵の道筋が、食品のおいしさに活かされていること、古い技術を残しつつ、いろいろアップデートされていることなど、多くの学びがありました。自分の中で発酵の概念が変わり、これからの生活が変わりそうな気がしています」。東京の“まち”を探訪し、日本の「食」と切っても切れない発酵の奥深さ、江戸で広く普及した発酵が現代の食にも生き続けていることを感じつつ、発酵をモダナイズしながらおいしさを追求する人たちの心意気にふれることができた一日でした。

(本記事は、2025年度東京都で実施した東京におけるガストロノミーツーリズムの魅力発信事業の実施レポートです。)

訪問先

ご協力いただいた施設・お店をご紹介します。

BROOKS GREENLIT CAFE

2024年12月にオープンした、100%プラントベースの食事とドリンクを提供するカフェ。緑茶と和紅茶をベースにした発酵飲料「コンブチャ」をはじめ、オーガニック野菜を使ったスムージー、サンドイッチなどが揃う。港区立青葉公園に面するため散歩の途中に立ち寄る人も多く、ペットを連れての入店もOK。
https://www.brooks-greenlitcafe.com/

発酵デパートメント

発酵デザイナーの小倉ヒラクさんのショップ。食堂スペースでは、発酵食品と旬の野菜をふんだんに使った定食が味わえる。発酵にまつわるワークショップも多数開催。国内各地+台湾の発酵食品、民芸品、発酵に関する書籍も販売する、発酵食のミュージアム兼インフォメーションセンター的スポット。
https://hakko-department.com/

だし尾粂(おくめ)

1871年(明治4年)に日本橋魚河岸で創業した水産仲卸の「尾粂商店」が立ち上げた、出汁専門の新ブランド。築地、麻布台ヒルズ、三重県多気町、ニューヨークに店舗を展開。36種類の乾物の中から、好きなものを組み合わせてオリジナルの出汁をつくることができる、オーダーメイド出汁パックが人気。
https://okume.jp/

namida

日本料理、イタリアン、ソムリエなどのキャリアを積んだ田嶋善文シェフが手がけるのは、日本料理をベースに現代のアレンジを加えた料理。店名は千利休の茶杓の銘、「泪」と、フランスの醸造家マダム・ルロワの言葉に由来。2025年夏、下北沢から池尻の廃校を利用した施設「HOME/WORK VILLAGE」に移転。
https://namida-tokyo.com/

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