翻訳アプリで広がる東京の食体験
東京の食を楽しむうえで気になるのが、言葉の壁。
しかし今では翻訳アプリやAI機能などを使えば、食事を一層楽しみやすくなるでしょう。
大切なのは完璧な日本語ではなく、伝えようとする気持ち。
テクノロジーを味方に、心でつながる食体験に踏み出しましょう。
メニューを理解する
日本の飲食店に入ったとき、「メニューが日本語版だけだった場合、理解できるだろうか?」「母国語が通じなくて、要望を伝えられるだろうか」と不安に感じる旅行者は多いことでしょう。しかし、海外からの旅行者が多い東京ではその不安を和らげるための工夫が随所に見られます。
多くの飲食店では、メニューに写真が添えられています。美しく盛りつけられた料理写真を見れば、料理の特徴や食材のイメージが伝わり、食べたいものを指差すだけで、十分に注文が可能です。
またインバウンド旅行者の増加に合わせ、英語や中国語、韓国語など、多言語対応のメニューを用意している店も増加。寿司、天ぷら、ラーメンなどの定番料理から、ヴィーガンやムスリムフレンドリーのメニューまで、写真付きで紹介されていることも多く、初めてでも安心です。
さらに、スマートフォンのカメラで文字をスキャンして翻訳できる機能や、翻訳アプリ等も旅行者にとって強い味方となります。料理名や説明文をその場で理解できるうえ、食材の産地や調理法なども分かれば、より深く日本の食文化を感じられるでしょう。
自分のペースで安心して選べる環境が整いつつあり、日々「伝えるための工夫」の進化を重ねる東京の飲食店。世界中からのゲストを温かく迎えています。
インバウンド客の多い東京では、多くの飲食店で多言語表記のメニューを用意しています。
注文を伝える
店員と英語や母国語でスムーズに話せるか不安に感じる旅行者も多いと思いますが、実際には心配しすぎる必要はありません。東京の飲食店では、言葉が通じなくても問題なく注文できる場面がほとんどです。
注文をするときに、難しい日本語を使う必要はありません。「This one, please.」「For two people.」といったシンプルな英語で十分に通じます。アレルギーや苦手な食材、特に、深刻なアレルギーがある食材については、正確に伝えられるよう日本語の食材名を予め確認しておきましょう。
また、日本ではアレルギーや宗教上の禁忌食材等に配慮した店も増えており、メニューにピクトグラム(アレルギー表示アイコン)が記載されている場合もあります。
不安なときや不明点がある場合は、注文前にスタッフへ確認するのが安心です。
音声翻訳アプリを使うときは、短く、はっきり話すのがポイントです。長文を一度に翻訳すると誤訳が起こりやすいため、ひとつの文を短く区切るのがコツ。翻訳結果をスマートフォンの画面で見せるのも良いでしょう。東京の飲食店では、旅行者が翻訳アプリで伝えることに慣れており、多くのスタッフが親切に対応してくれます。
伝え方の上手、下手よりも、伝えようとする気持ちが何より大切。笑顔でコミュニケーションをとるだけで、温かい交流が生まれます。そうした心の通う瞬間こそが、旅の楽しみでもあるのです。
人数を伝える時、料理を注文する時、日本語は不要。シンプルな英語やジェスチャーで十分に伝わります。
会話を楽しむ
翻訳ツールを使えば、ちょっとした会話も楽しめます。「おすすめはありますか?」「おいしかった!」、そんな一言が、スタッフとの交流を生み出します。
翻訳結果をそのまま読むだけでなく、笑顔やジェスチャーを添えることで、より温かみのあるやりとりが生まれるでしょう。
翻訳は会話を成立させるための手段であり、笑顔は心を通わせるきっかけ。言葉が違っても、思いやりの気持ちは必ず伝わります。おもてなしの精神にあふれる東京の人々は、旅行者が一生懸命に伝えようとする気持ちを大切に受け止め、きっとあなたの食体験をより特別なものにしてくれるはずです。
スマホの翻訳ツールは、東京で外食をする際の便利なアイテム。
翻訳ツールを使うときの注意点
飲食店で翻訳ツールを使う際に気をつけたいのは、音量と使い方です。店内は静かな空間が好まれるため、音声が大きすぎないように注意しましょう。長い文章や専門的な単語は誤訳が出やすいため、短いフレーズに分けて伝えるのがおすすめです。
料理名や食材に不明な点があるときは、翻訳結果を画面で見せたり、指差ししたりして確認を。
翻訳機能に「頼りすぎず」「使いこなす」ことが、スマートな“東京マナー”。ちょっとした配慮が、周囲への思いやりにつながります。
飲食店での音量は控えめに。スマートな“東京マナー”を心掛けましょう。
言葉を超えた“おいしい出会い”
言葉が通じなくても思いやりと少しの工夫で楽しい食体験はつくれますが、翻訳ツールを上手に使いこなせると、東京の食文化にさらに一歩踏み込み、人と人との距離を縮めるきっかけになります。スマートフォンを片手に「伝える」「理解する」という両方の喜びを味わいながら、東京の食を存分に楽しんでみませんか。そこにはきっと、言葉を超えた“おいしい出会い”が待っています。
スマホなどの文明の利器を駆使すれば、東京での食体験はより豊かなものになります。
監修
諏内えみ すない えみ
マナースクールEMI SUNAI 代表。マナー、ふるまい、会話、社交、テーブルマナーやパーティマナーのレッスン等を行う。